2011/03/28

父の涙


エルゴ抱っこで散歩中、必ず眠るむすめ。

帰省中はSkypeで夫と深夜、話している。
昨夜は、今週末戻ることについて話していた。

数値上問題ない、という発表があっても、どうもすっきりとしない。
しかし、今の状況で留まると判断したならば、おそらくもう二度と戻ることはできないと思う。
もはや数年単位で状況が大きく変わるとは思えないから。あくまで個人的な考えだけれど。
夫も同じ考えだった。
天候、風向き、各機関が発表する数値に気を付けて生活すればよいだろうと。
それでも私の中では色々な考えがよぎり、逡巡がうまれる。
その想いを夫にぽつぽつと話していた。深夜零時。
 
いつもは夜中3時頃にしか目を覚まさないむすめが起きた。
布団から抱き起して部屋の明かりを落とし、PCの前に一緒に座り、夫に彼女の姿を見せた。
そして少し母乳を飲ませた後、まさかのご機嫌タイムが始まってしまった・・・
楽しそうに声をあげて、モニタの向こうから声をかける夫を見たり見なかったり。

むすめのそんな姿を見ていた夫が、かわいいね、と一言つぶやき、涙をこぼした。
私達が帰省していることで、様々な心配をする必要がなく気兼ねなく遅くまで仕事をしていられる今の状況は、気持ちが楽だ、と言っていた。
地震直後は、自宅に残したむすめと私を心配して仕事中も気が気でなかった夫。
のびのびと一人暮らしライフを楽しんでいるようだった。
もともとプラス思考で、あまり物事を深刻に考えない(って書くとアホみたいだ・・・)タイプの彼が流した涙。

夫もまた、どこか不安なのかもしれない。たとえ大丈夫だ、と判断していたとしても。
むすめを愛しむ想いが堪えきれなくなったのかもしれない。
普段から、ほとんど朝しかむすめと触れ合える時間を持つことできなかった彼。今は遠く離れている。
涙の意味を問うことはしなかった。だから本当のところは分からない。
ただ、彼の涙に胸が痛くなった。

あの日をさかいに、被災していない私達でさえも、世界が変わってしまった。
予防接種来週行かないと。
今度むすめとあそこに遊びに行こう。
引っ越しの荷造り始めなきゃ。
保育園探さないとな。
そんな予定をのんびりと立てていた。
何の不安を感じることもなく。それがいかに幸せなことなのか、その時は全く思いも及ばなかった。

普通ではない事態が起きている今。
それでも子供は日々育っていく。
幼い命を預かる親として、何を選び取るのが正しいのか。
悩みながら、涙を流しながら、私達は前へ進むしかない。

0 件のコメント: